「ポリリン酸」って何?そう思われる方はたくさんいらっしゃると思います。でも番組で私の話に耳を傾け、商品を使ってくださった方が「とっても良かったわ!」と声をかけてくださる。それが本当に商品開発の励みになっています。研究者の私だからこそお話しできることがたくさんあると思うので、これからも“分かりやすさ”を大切に伝え続けていきたいですね。
大阪大学大学院修了。北海道大学で助教を務めた後、米スタンフォード大学へ研究員として留学し、アーサー・コーンバーグ博士に師事。帰国後同大学で准教授に赴任し、日本人で初めて生体内「ポリリン酸」研究に携わる。国内だけでなくアメリカ・ヨーロッパでもその独自性に高い評価を得ている。
心に響いた恩師の言葉
北海道大学で助教をしていたのですが、アメリカのスタンフォード大学へ留学するチャンスに恵まれ、アーサー・コーンバーグ博士の下で研究させていただくことになりました。そこで出会ったのが「ポリリン酸」。実は「ポリリン酸」を研究テーマに選んだのは、あまり人気がなかったから(笑)。当時まだよく分かっていない成分だったんです。しかし、コーンバーグ博士が「Forgotten polymer, to be unforgettable.(ポリリン酸は忘れられた分子、でもこれを忘れちゃいけない)」、みんなが注目していないものでも、掘り起こしていけばとても大事な事実が見つかるかもしれないとセミナーでおっしゃっていました。博士のその言葉に突き動かされ、私と「ポリリン酸」の2人3脚が始まったのです。
北海道大学 助教時代の一枚
アーサー・コンバーグ氏の息子、トム・コンバーグ氏(右から2番目)と
伝え続けることの大切さ
帰国後も「ポリリン酸」の研究を続け、3年くらいたったころに、一定の大きさのポリリン酸がオーラルケアに適していることを発見したんです。最初は含有量の測定方法すら分からず、本当に手探りの研究でした。成果がなかなか出ずに「このまま続けていいのかな」と思ったこともあったので、このことが確認できた時は本当に感動しましたね。そこでこの成分を活用した商品を作りたいと思い、オーラルケア商品を中心に手がけ始めました。ショップチャンネルさんでは2007年から歯みがき剤の「薬用ポリリンジェル」を販売したのですが、高価な歯磨き剤でしたので最初はなかなか売れなかったですね。
でも、番組に出るたびに繰り返し「ポリリン酸」の効果をお伝えしたことや、バイヤーさんからいただいたさまざまなアドバイスを実践したことで、お客様に思いが伝わり、今ではたくさんの方に商品を手に取っていただくことができてとてもうれしいです。
お酒を飲むのは至福の瞬間
大学時代はバンドを組んでベースを担当していたこともあって、音楽が好きですね。今では楽器はあまり弾きませんが、カラオケに行って映画で話題になったQUEENやBilly Joelなどの洋楽をよく歌います。あとお酒も大好きで、実は毎日晩酌しています。「今日も一日頑張った~」と締めのお酒を飲む瞬間は最高ですね。
日本の意識を変えていける商品を
私は「ポリリン酸」を26年ほど研究していますが、今可能性を秘めている成分として全世界で注目を浴びており、さまざまな分野で研究が進められています。私が研究し始めたころを考えると信じられないくらい(笑)。商品に使っている純度を高めた「EXポリリン酸」は、現在は私だけしか作ることができません。そのため、たくさんの研究者からリクエストが来るのですが、全部無償で提供しています。もっともっと「ポリリン酸」の研究が進み、たくさんの人を幸せにできる成分となってほしいですね。
他の国々に比べて日本のオーラルケアの意識は低く、まだまだ開発の余地があると思います。歯にお悩みの方は多いと思うので、今後も「ポリリン酸」の研究を続けながら、お客さまに喜んでもらえる商品を作り続けていきたいと思います。